みなさん「冠詞」ってお聞きになったことありますか?
英語学習者なら誰でも知っているa/an/theのことです。
a/anは「不定冠詞」、theは「定冠詞」と文法言葉では呼びます。
これらはとても小さな単語ですがその使い方が多種多様で、なかなか理解するのは日本人には難しいですよね。
ここではそんな冠詞のひとつである「不定冠詞」に注目し、使い分けや使い方、意味を7つのパターンに分けて解説していきます。
目次
不定冠詞『a』と『an』はどう使い分けるの?
不定冠詞a/anは後ろに続く単語によって『a』か『an』を使うかが決まります。
子音で始まる語の前では『a』、母音で始まる語の前では『an』と覚えている方が多いと思います。
その通りなのですが、ちょっとした「落とし穴」がここには隠れているんです。
下の問題で()にaかanを入れてみてください。
- () European country(ヨーロッパの国)
- () “m”(「m」)
- () hour(1時間)
いかがでしたか?
母音で始まる語の前はanでしたね。
「母音」とはスペルのことではなく「音」の母音「ア・イ・ウ・エ・オ」を指します。
よってEuropenの最初の音は発音するとユに近い音となり、母音ではないので冠詞は『a』となります。
それでは“m”はどうなりますか?
“m”はエムと発音され、母音で始まるので『an』をとります。
hourはアウァなのでやはり母音から始まるので『an』をとります。
スペルの頭文字が母音かどうかではなく、発音が母音かどうかで決まります。
以下混同しやすい例をあげてみました。
- an + e/f/h/l/m/n/o/r/s/x(全て母音で始まるアルファベットの文字です)
- an honest man:正直な男
- a yellow hat:黄色い帽子
- a one-story house:一階建ての家
- a university:大学
- a uniform:ユニフォーム
など
不定冠詞『a』『an』の使い方
不定冠詞『a』『an』の使い分け方がわかったところで、実際にどのような使い方があるのかを紹介します。
ここでは、6つの使い方をみていきましょう。
「ひとつ+数えられる+初めて話題にのぼる」の時に使う
a/anは「不定冠詞」と呼ぶように、「不定」のもの、つまり特定できない、初めて話題にのぼる一般のもので、数えられるものに使われます。
この『a/an』は特に「ひとつ」を意識して使われているわけではなく、わざわざ訳さないことが多いです。
例文:I saw a cat sitting in front of the door.The cat turned out to be pregnant.
訳:ドアの前に(一匹の)猫が座っているのが見えた。その猫は妊娠していることがわかった。
この例のように初出の時は不特定の猫を意味して『a cat』ですが、2度目からは「その猫」と特定されるの『the cat』となります。
また「ひとつ」という「数」に注目して欲しい場合はa/anの代わりに『one』や『only one』を用います。
例文:I read only one book last week.
訳:わたしは先週一冊しか本を読みませんでした。
例文:Would you like one apple or two?
訳:りんごはひとつ欲しいの?それともふたつ?
種類全体を表したい時に使う
「~というものは」とか「どの~も」と不特定多数の総称的な意味を表現したい時はa/anを名詞の前につけます。
この場合a/an=anyとなります。
例文:A dog is faithful to its master.
訳:犬というものは主人に忠実である。
例文:A square has four sides.
訳:どんな四角形も4辺があります。
ただし総称的に「~というものは」という場合は以下のように『名詞の複数形』を用いる方が一般的です。
例文:Dogs are faithful to their masters.
訳:犬というものは主人に忠実です。
「ある~」と表現したい時
この場合もa/anの持つ「不特定性」が生かされています。
「a/an=a certain」として用いることができます。
例文:A man came to see me yesterday.
訳:ある男が昨日わたしに会いに来た。
例文:He was living on a small island in the Pacific Ocean.
訳:彼は太平洋のある島に住んでいた。
「~につき」「~ごとに」などを意味する場合に使う
価格、割合、速度などについて「~につき」と表現する時にa/anを使って表します。
例文:I go to Tokyo twice a month.
訳:月に2回、東京に行きます。
例文:We are paid 10$ an hour.
訳:時給10ドルです。
例文:These shoes cost 50$ a pair.
訳:この靴は一足50ドルです。
例文:Our gas is 2$ a gallon.
訳:ガソリンは1ガロンで2ドルです。
a/an+物質名詞・抽象名詞・固有名詞で「種類」などを表す時に使う
まず「物質名詞」・「抽象名詞」・「固有名詞」ってどんな名詞かご説明します。
物質名詞とは形・大きさがなく、数で数えられない物質を表す名詞のことで気体・液体・元素・天然物・飲料/食料品などを指します。
例:air(空気)、water(水)、gold(金)、stone(石)、 milk(牛乳)、cheese(チーズ)など
抽象名詞とは人や物の性質・状態を表す抽象的な概念を表すことばで、これも数えられません。
例:beauty(美)、happiness(幸福)、honesty(正直)、love(愛)、success(成功)、music(音楽)など
固有名詞とは特定の人・物・場所など固有の名前を表す名詞のことを指します。
もちろんこれらもひとつしかないものなので通常は数えられない名詞です。
必ず大文字で書き始め、無冠詞で単数形です。
例:Tokyo(東京)、Mr. Sasaki(佐々木さん)、Mt. Fuji(富士山)、Sunday(日曜日)など
では上にあげた数えられない名詞群に『a/an』をつけるとどうなるかというと、その特徴が「可算名詞化」するんです。
『a/an』をつけることで具体的なイメージを持つ言葉に近づけるわけです。
例えば『wine』だけですと一般的なアルコール飲料のひとつの総称ですが『a sweet wine』(甘口のワイン)ですとより具体的なワインの「ひとつの種類」を表現できます。
色々例を見てみましょう。
a strong coffee(濃いコーヒー)、a fire(火事)、a beauty(美人)、a Picasso(ピカソの作品)、a heavy rain(大雨)、a cold Sunday(寒い日曜日)
どうですか?
『a/an』がついて意味がより具体的なイメージを持っていますよね。
また『a/an+人の名前』で「~さんという名の人」、『a/an+有名人』で「~のような人」という意味を持つ使い方もあります。
例文:I got a phone call from a Mr. Tanaka this morning.
訳:田中さんとかいう人から今朝電話がありました。
例文:She has been described as a new Marilyn Monroe.(参照元:ロングマン英和)
訳:彼女はマリリン・モンローの再来と言われてきた。
2つで一対をなす名詞の前につける
a cup and saucer(カップと受け皿)やa knife and fork(ナイフとフォーク)などは『cup and saucer』『knife and fork』で一体化したひとつの普通名詞のようになっており、それに『a/an』をつけた形になっています。
不定冠詞『a』『an』の使い方まとめ
a/anといった不定冠詞をつけて名詞を表現することは私たちの日本語ではないことですから、使い方をマスターするのは難しいですね。
でもまずはここにあげた基本パターン6つをしっかり覚えてください。
あとは応用的に色々な英文に接していく過程で、自然と不定冠詞の使い方の理解が深まっていくと思います。
英文を読む際には、これからはa/anにも少し気を留めてみてくださいね。
新しい発見もあるかもしれません。