チキンを英語で言いたい時、なんと表現するんでしょうか?
もしあなたが「昨夜の夕食に鶏肉を食べた」を『I had a chicken for dinner last night.』と言うと、実は「えっ?」って感じの発言内容なんです。
わたしたち日本人はどこで定冠詞『a/an』を付けたら良いか、すごく迷いますよね。
ここではそんな『a/an』の使い方を色々な例文とともにお伝えします。
目次
『a/an』って何?つく場合とつかない場合は?
『a/an』は「1つの」という意味ですよね。
日本語ではことさら「1つの」を意識して使うことはしません。
例えば「昨日バスで友人に会った」と伝えたい時に、英語では『I saw a friend yesterday on the bus.』と表現します。
日本語では友人の数に注目しない限りは、わざわざ「1人の友人」とは表現しませんよね。
しかし英語では必ず1人の友人なら『a friend』としなくてはいけません。
「人間や動物・物」の名称である普通名詞は「数えられる名詞」として分類されます。
そして普通名詞の単数形には必ず『a/an』あるいは『the』やそれに準ずる『this/that』、または代名詞・名詞の所有格『my,his,Mike’s』などをつけなくてはいけません。
つまりルールとして普通名詞は英文中で『friend』や『book』など単語単体で使われることはないと覚えておいてくださいね。
英語で『a/an』のつかない名詞
『a/an』がつく場合とつかない場合の違いって見分けるのは難しいですよね。
そこで、英語で『a/an』のつかない名詞をみていきましょう。
知っておいて欲しい物質名詞とは?
名詞の中には一定の形や大きさがなく、数で数えられないものがあります。
例えば下記のようなものです。
- 水
- 牛乳
- 塩
- バター
- お金
- 雨
- チョコレート
例を見るとわかると思いますが、「量」として多い少ないを表すものです。
こういった名詞を「物質名詞」と呼びます。
「物質名詞」は数えられない名詞で常に「単数扱い」+「a/anはつかない」という特徴があります。
数えられないので「複数形」の『s』や「1つの」を表す『a/an』はつかないのは当然ですね。
物質名詞の量はどう表現する?
数えられない「物質名詞」の量の多少はどう表現するのでしょうか?
それには「測定する容器」や「単位」を使って量を表します。
例をみてみましょう。
- バケツ1杯のお水:a bucket of water
- コップ1杯のお水:a glass of water
- 1リットルのお水:a liter of water
さらに量が増えれば下記のようになります。
- バケツ2杯のお水:two buckets of water
- コップ2杯のお水:two glasses of water
- 2リットルのお水:two liters of water
「測定する容器」や「単位」の方が複数形となり『water』はそのままであることに注意してください。
そのほかのよく使われる物質名詞の量の表現方法
「水」のように「測定する容器」や「単位」で量を表現する主な物質名詞をあげてみました。
- 1箱のチョコレート:a package of chocolate
- コーヒー1杯:a cup of coffee
- ジャム1瓶:a jar of jam
- 紙1枚/チョーク1本:a piece of chalk/paper
- 紙1枚/布1枚:a sheet of paper/cloth
- パンひとかたまり:a loaf of bread
- パン1切れ:a slice of bread
- 1ポンドの牛肉:a pound of beef
- 1ガロンの牛乳:a gallon of milk
- 1さじの蜂蜜:a spoonful of honey
- 1粒の塩:a grain of salt
- 角氷1個:a cube of ice
- 丼(茶碗)1杯のご飯:a bowl of rice
- 1個の石鹸:a cake of soap
- 1握りの砂:a handful of sand
- 角砂糖1個:a lump of sugar
いずれの場合も複数形にする場合は「容器」や「単位」を表す名詞の方を複数形にします。
例文:I bought ten packages of chocolate for Valentine’s Day.
訳:わたしはバレンタインデーのために10箱のチョコレートを買いました。
例文:May I have two pounds of beef?
訳:2ポンドの牛肉をくださいませんか?
例文:I had two cups of coffee and two slices of bread for breakfast.
訳:わたしは朝食にコーヒー2杯とパンを2切れ食べました。
抽象名詞の量・程度の表し方
「物質名詞」と並んで1つ2つと数えられない名詞に「抽象名詞」があります。
抽象概念として表したもので、見たり聞いたり触れたりできないものです。
こういった抽象名詞を数えるときも『a piece of ~』(1つの~)などの「単位」を使って「数量」を表します。
- 1点の美術品:a work of art / a piece of art
- 1つの曲:a piece of music
- 1つの情報:a piece of information
- 1つの良い知らせ:a piece of good news
- 1つの助言:a piece of advice
a/anの有無で単語の意味が変わる場合
a/anの有無で単語の意味が変わる特殊なケースがあります。
これが冒頭にあげた『chicken』と『a chicken』です。
意味の違いは『chicken』は「鶏肉」、『a chicken』は「丸ごと鶏一羽」となります。
「昨夜夕食に鶏肉を食べた」は『I had chicken for dinner last night.』が正しい表現となります。
『I had a chicken for dinner last night.』ですと「鶏を丸ごと一羽食べた」ことになります。
このように「a/an」がないと物質名詞となり、境界が不明瞭で数えられない量的なものを表し、「a/an」がつくと「まるごとそれ」と可算名詞となります。
あえて「1切れの鶏肉」を表現したいときは『a』ではなく『a piece of chicken』とすれば問題ないです。
『a piece of~』は数えられない名詞につける「単位」としてよく使われます。
a/anの有無で意味が変わる他の単語の例
a/anのある、なしで意味が変わる色々な単語例をあげてみました。
例文:I boiled an egg.
訳:卵をゆでた(丸ごと1個の卵)
例文:I got egg on my shirt.
訳:シャツに卵が付着した(卵の一部分)
例文:I found a hair in my soup.
訳:スープに中に毛が1本入っていた(髪の毛1本)
例文:He has dark hair.
訳:彼は黒い髪の毛をしています(髪全体)
例文:He caught a fish.
訳:彼は魚を1匹とった(魚丸ごと1匹)
例文:He had fish for lunch.
訳:お昼に魚を食べた(魚の切り身)
「メリーさんの羊」っていう歌がありますよね。
英語の歌詞は『Mary had a little lamb…』で「メリーさんは子羊を一匹飼っていた~」となります。
『a little lamb』は『a baby sheep』のことですね。
これが『Mary had lamb for dinner.』ですと「メリーさんは夕食に子羊の肉を食べました」と言う意味になるわけです。
『a/an』が有る無しで意味がこんなにも変わってしまうので気をつけたいですね。
a/anのつく場合・つかない場合まとめ
いかがでしたか?
a/anは小さな単語ですが、大きな意味の違いを表現できる言葉ですね。
a/anの概念があまりない日本語を使う私たちにとってはマスターするのはなかなか厄介なものです。
でもご心配なく。
使い方を間違えてもたいていは会話の流れから正しい意味は理解されます。
ただ英文ライティングでは会話よりもフォーマル度がアップするので、できるだけ正しく使いたいものです。
こまめに辞書で確認したりしながら、a/anの感覚を少しずつ身につけていきましょう。