皆さんは英語文の否定形を作るとき、「ほとんど~ない」と「弱い否定」を表現する方法を知っていますか?
「最近ほとんど眠れない」とか「ほとんどネイティブの英語が理解できない」など、日常会話では「100%~ない」と白黒はっきり否定するよりは、曖昧に弱く否定する表現を使う方が断然多いのではないでしょうか。
そのような「弱い否定」を表す言葉を準否定語と呼びます。
ここでは準否定語の意味や使い方を例文とともに紹介していきたいと思います。
目次
準否定語①:「程度」を否定する場合の副詞『hardly』
まず最初に、「ほとんど~ない」と「程度」を否定する場合の副詞『hardly』の使い方を見てみましょう。
例文:I hardly remember what I said.
訳:私は何を言ったかはほとんど覚えていない。
例文:He wore a big hat, so we could hardly see his face.
訳:彼は大きな帽子をかぶっていたので、私たちは彼の顔をほとんど見ることはできませんでした。
例文:She has done hardly any work today.(参照元:ロングマン)
訳:今日彼女はほとんど仕事をしていない。
上の例はいずれも何を言ったかという記憶や顔の認識度、仕事の進み具合の「程度」が100%ゼロというわけではないけど「ほとんど~ない」と弱い否定をしているケースです。
hardlyと同様にscarcelyも全く同じ意味で使われますが、scarcelyの方がフォーマルです。
準否定語②:「頻度」を否定する場合の副詞『rarely』と『seldom』
今度は「頻度」を弱く否定する副詞『rarely』『seldom』の使い方を見ていきましょう。
「最近ほとんど映画を観に行っていない」または「最近めったに映画を観に行っていない」と「頻度」を表すのに「ほとんど」も「めったに」も日本語では両方同じ意味に使えます。
しかし「程度」の場合は「ほとんど~ない」、「頻度」を表す場合は「めったに~ない」と訳し2つをしっかりと区別していきましょう。
例文:He has seldom made such careless mistakes.
訳:彼はそんな不注意なミスはめったにしたことがありません。
例文:The disease is rarely fatal.(参照元:ロングマン)
その病気は命に関わることはめったにない。
hardly/scarcelyとは違いrarely/seldomは「頻度」つまり起こりうる回数が少ないことを意味しています。
rarely/seldomともに「めったに~ない」と訳しますがseldomの方がフォーマルです。
準否定語の使い方
準否定語を使う時にもルールが存在します。
具体的な使い方を例文とともに見てみましょう。
no/notといった否定の意味を持つ語とは使わない
準否定語にはすでに「ほとんど~ない」「めったに~ない」といった否定的な意味が含まれているので否定語no/notなどと一緒に使うことはできませんので注意してくださいね。
例文:I can (× can’t) hardly understand English.
訳:ほとんど英語が理解できません。
例文:There is hardly any (× no) milk left.
訳:ほとんど牛乳は残っていません。
例文:They can (× can’t) seldom agree on anything.
訳:彼らはどんなことにも意見が合うことがめったにない。
準否定語はany/anything/anybodyなどの前に用いられる
英語で「わたしはお金が全くない」と表現したいとき『I have no money.』と言いますが、これは『I don’t have any money.』と同じ意味です。
つまり【no = not ~ any …】ということです。
hardlyなどの準否定語も否定語notの仲間なので『hardly/rarely + any …』という形も当然OKということですね。
以下例文を参照してください。
例文:We rarely see anybody on the beach after dark.
訳:暗くなると海岸ではめったにだれも見かけない。
例文:There is hardly any danger of an earthquake.(参照元:ルミナス英和)
訳:地震のおそれはほとんどない。
準否定語が文頭に来ると倒置が起きる
never/nor/neitherなどの否定語が文頭に来るとそのあとの語順は「疑問文」の語順になるのと同じように、準否定語のhardly/rarely/seldomなどが文頭に来る場合も倒置が起きて、そのあとは疑問文の語順に変わります。
- He hardly knew his neighbors.(彼はほとんど近所の人たちを知らなかった。)
- I had seldom seen so many people out on the street.(通りにこんなに多くの人がいるを見たことはめったになかった。)
→倒置:Hardly did he know his neighbors.
→倒置:Seldom had I seen so many people out on the street.
準否定語『hardly』と『hardly ever』の違い
ここで注意ですが、hardlyは「ほとんど~ない」と「程度」を表す準否定語ですが、よく似た表現の『hardly ever』は「めったに~ない」という頻度を意味する言葉になります。
例文:It hardly ever snows here.
訳:ここではめったに雪は降りません。
例文:He hardly ever tells a joke.
訳:彼はめったに冗談を言いません。
hardly everと同じようにscarcely everも頻度を表す意味となります。
例文:Ted scarcely ever left the house.(参照元:ロングマン)
訳:テッドはめったに家から出なかった。
barelyは準否定語?意味と使い方
hardly/scarcelyとよく混同されるのがbarelyです。
hardly/scarcelyは「ほとんど~ない」という否定の意味でしたが、barelyは「やっと、かろうじて・・・する」という肯定的意味を表すのが普通です。
例文:She could hardly understand English.
訳:彼女はほとんど英語を理解できなかった。
例文:She could barely understand English.
訳:彼女はかろうじて英語を理解することができた。
意味が全く逆になるので注意してください。
Hardly(Scarcely) A when [or before]Bの意味
Hardly(Scarcely) A when [or before]Bで「AするかしないうちにBした/AしたとたんにBした」と訳します。
入試用の問題集には必ず出てくる表現ですよね。
語順や訳が複雑で苦手意識を持っている方多いと思います.
まずは例文と訳から見ていきましょう。
例文:The party had hardly started when she arrived.
訳:パーティーが始まるか始まらないうちに彼女が到着した。
訳と英文をよく比較してみてください。
whenの節から訳すのではなく、文頭から文尾へそのまま訳せばいいことがわかりますね。
また「パーティー」と「彼女の到着」を比べると、「パーティー」の方が若干早く始まり、そのあとに「彼女」が到着したと理解できます。
『The party had started』の部分には過去完了形が使われているので、過去より1つ時制が前の「大過去」を表しています。
つまり『she arrived』彼女が到着した(過去時制)より前に「パーティーが始まった」ということです。
したがって意味的には次のように書き換えられますね。
The party had hardly started when she arrived.
→The party started and then she arrived.(パーティーが始まった。そしてそれから彼女は到着した。)
この文もhardlyを文頭に置く倒置の形でよくみられます。
hardlyが文頭に来たら、そのあとは疑問文の語順になるんでしたね。
以下倒置文です。
Hardly had the party started when she arrived.
英語の準否定語まとめ
今回はnotやnoが含まれていないのに、弱い否定を意味する準否定語を取り上げてみました。
「程度」と「頻度」の使い分けがある点が難しく思われるかもしれませんね。
rarely「めったに~ない」は頻度を表しますが日本語でもめったに入手できないものを「レアもの」なんて言いますよね。
そんなことをヒントにしながら少し難易度の高い準否定語にぜひ挑戦してみてください。