英語学習者なら「クジラ構文」って一度は耳にしたことあると思います。
『A whale is no more a fish than a horse is.』
これがクジラ構文です。
その和訳は「馬が魚でないのと同様に、クジラも魚ではない」となります。
和訳を難解にしているのが『no more ~ than』の部分ですよね。
ここでは『no+比較級+than』の意味を徹底解説していきます。
目次
『no more 〜 than』の意味、訳し方①:『no』の使い方
まず『no』と『not』の違いを理解することが大切です。
次の2つの英文の和訳の違いをみてください。
例文:He is not a fool.
訳:彼はバカ者ではない。
例文:He is no fool.
訳:彼はバカ者どころかとても賢い。
『not』はただ『a fool』を否定しているだけです。
一方『no』はとても強い否定を表し、「決して~でない」「~どころではない」と言うむしろ正反対の意味になっている点に注目してください。
また『no』には話し手の強い否定感情も含まれます。
ここは大切なポイントですから覚えておいてくださいね。
強い否定『no』を使った他の文例
強い否定『no』の意味と使い方をより理解できるように、以下に色々な文例をあげてみました。
例文:He is no stranger to me.
訳:彼は私にとって見ず知らずの人どころじゃない。(参照元:オーレックス)
例文:He is no friend of mine.
訳:(あんな態度をとるなんて)彼は友達なんかじゃない。(参照元:オーレックス)
例文:He is no teacher.
訳:彼は先生なんて言えたもんじゃない。(参照元:プログレッシブ)
例文:The situation is no different from what it used to be.
訳:事態は以前と全く変わっていない。(参照元:プログレッシブ)
『no+〇〇』は『〇〇では決してない』『むしろ〇〇とは反対だ』と言う強い否定の意味になっていますね。
『no more 〜 than』の意味、訳し方②:no+比較級+(than)
比較級と一緒に『no』が使われる時も「強い否定」を表すという原則は同じです。
例えば次の英文を見てみましょう。
例文:This book is no better than that one.
訳:この本はあの本と同じように駄作だ。
まず『no better』の解釈です。
『better』につられて『no better』を「良くない」と訳してしまわないように注意が必要です。
noは強い否定を表すのですから『no better』は「いい」か「悪い」かと言えば、「断然悪い」ということがまず前提となります。
betterと比較級が使われているのは「あの本」と比較しているからですね。
ここで注意したいのは比較対象の「あの本も同様に悪い」という同じ前提に立っている点です。
つまり両方とも悪いとなります。
次の比較文のケースでも同じように考えることができます。
例文:His short stories are no less interesting than his novels.
訳:彼の短編小説は長編小説に劣らず面白い。(参照元:オーレックス)
『no less interesting』の解釈の仕方から考えてみましょう。
『less』は「より~でない」と否定的な意味を表す副詞ですから『less interesting』は「面白くない」という否定的な意味になります。
それを『no』で強く否定していますので、『no less interesting』で「とても面白い」となりますね。
この場合、比較している彼の小説も同様に「面白い」という前提に立っていますので、結局両方とも面白いということになります。
『no more 〜 than』を使った「クジラ構文」はどう解釈する?
ではみなさんが和訳で頭が混乱する「クジラ構文」を一緒に見ていきましょう。
まずは以下例文と訳を参照してください。
例文:A whale is no more a fish than a horse is.
訳:馬が魚でないのと同様にクジラは魚ではない。
まずは『no more a fish』の解釈の仕方ですね。
『more a fish(より魚である)』を『no』で強く否定しているので、「全然魚ではない」という意味になりますね。
この場合、上の例と同様に、「馬も魚ではない」という前提に立っています。
つまり両方とも魚ではないとなり、上の訳のようになります。
- no more A than B:Bと同様にAでない
- no less A than B:Bと同様にAである
覚え方のアイデアとしては数学を使うといいですよ。
noは強い否定で(ー)、moreは肯定で(+)と考えます。
『no more』は(ー)×(+)=(ー)となり「否定」、『no less』は(ー)×(ー)=(+)となり「肯定」の意味になると覚えると記憶に残り易いのではないでしょうか。
『no more 〜 than』を使用した練習問題
みなさんの理解度を下の例文で試してみましょう。
次の例文の訳を完成させてください。
ポイントは『no』によってその後ろの言葉の意味が真逆になることです。
問題1.She is no less charming than her sister.
彼女は妹と同様に()です。
問題2.A whale is no less a mammal than a horse is.
クジラは馬と同様に()です。
問題3.I can no more swim than fly.
私は()と同様に()です。
問題4.Your idea is no less important than his.
あなたの考えは彼の考えと同様に()です。
『no more 〜 than』の意味と訳し方のまとめ
いかがでしたか?
強い否定の『no』がその後ろの言葉を真逆の意味にしてしまう点さえ理解できれば、もうクジラ構文も、類似の英語表現も怖くないですね。
英語にはほかにもmore/lessとnot/noを組み合わせて使った表現がとても多いです。
1つずつ攻略していきましょう。